『10分間1ミリも動かないでください』『大きな音出ますけど我慢してください』『痛みはないですから』
そう言って担当のおじさんは、球体の小さな風船みたいなものをわたしに握らせた。緊急時はこれを握るとおじさんに何かが伝わるらしい。そして気休め程度のヘッドホンをわたしの耳に装着し毛布をかけてくれた。
1ミリ動いてやりなおしは絶対に避けたい。深呼吸の練習で10分やり過ごそうとしたけど、たまった唾液をどう処理するか分からなくて無になろうと決めた。のみ込んだら1ミリくらい動きそうだ。
工事現場のドリルのような震度と音が響いているみたいだった。工事現場と違って直にドドドと頭が振動してたので終わったあともぼーっとしている。
輪切りになった頭蓋骨と、血管の全体図をみながら先生は『特に問題ないです』と言った。緊急用に偏頭痛の処方箋を出してもらって隣の薬局に行く。
いつも思うけど一度しかいかない薬局で毎回カルテを書かせるのってどうかと思う。かと言って行きつけの薬局があるわけでもないけど。
もらった薬の金額にびっくり。1錠1100円⋯!!3錠で3300円。高すぎないか、別に言いけど。いつでも飲めるように持ち歩いたらいいですよ、3錠だけ出しますね。このときに1錠1100円する薬って先生知ってたのかな。薬局の人曰く、最新の薬でよく効くけどちょっと高い。3割負担で1100円はちょっとじゃないだろ。
この最新の薬は、水無しで飲めるので柔らかいらしい。崩れるので押し出すんじゃなくてめくって取り出してくださいね。すかさず『水で飲んじゃだめなんですか、まずいですか』と聞く。おじさんは丁寧に答える。『甘いです。水で飲んでも問題ないとは思いますけど⋯一応無しで飲むタイプとして作られたもので』
この効果な薬を半年後、1年後になるかもしれない偏頭痛のために無くさずに取っておけるか問題
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