クォン・ナミさんの書籍「面倒だけど、幸せになってみようか」の中で、著者が翻訳した本の一つとして「ツバキ文具店」が出てきました。
ナミさんは日本書籍を韓国語に訳す翻訳家。
鎌倉が舞台のツバキ文具店(幻冬舎)を訳している内に猛烈に鎌倉に行きたくなったナミさんは、書籍あとがきのため(だけではないと思うが)に韓国から鎌倉へ旅立ちます。しかも翻訳代と同等の旅費を使って。手紙好きというナミさんの鎌倉紀行を読んでいたら、原書を買っていました。
ツバキ文具店は、代書屋という手紙の代筆を生業とする女性、ぽっぽちゃんが主役です。
さまざまな理由で、代筆を依頼しにくるお客さんに合わせて、ぽっぽちゃんが封筒や切手、ペンの種類からインクの色まで細かに選んでいく姿が描かれています。
わたしが好きなエピソードは、汚文字(おもじ)の女性。
客室乗務員の依頼者は、容姿も所作もエレガント。その見た目では想像できないほど字が汚いので、義理の母にメッセージカードが送れないとのことでぽっぽちゃんの元に現れます。
ぽっぽちゃんは、どんなに努力をしても病気のように字が上手に書けない人がいることに衝撃を受け、メールが主体になった現代でも字に自信が無い人にとっては「書く」機会がまだまだ多く、悩ましいのだろうと同情します。
字に負い目があるわたしは、この部分に深く頷いてしまいました。
書類の補足で書くちょっとしたメモのために何度書き直しをしているか…恥ずかしくて言えません。
本の冒頭では、代書屋は字がきれいであればできる仕事だと思っていまいた。
が、ぽっぽちゃんは依頼の内容に合わせて、依頼者らしい文字や便せん、切手などを選んでいきます。
この汚文字の女性の一番きれいな字、と彼女になりきって書いた文字は決して習字のお手本のようではないけれど、丁寧さが伝わってくる親近感のある形をしていました。(書籍には手紙の挿絵が印刷されています)
ぽっぽちゃんが育った背景や、手紙の内容や文具を選ぶ細かい描写に「へ~」と終始声が漏れる。正直、紙の材質や万年筆の種類は知らないものばかりだったけど、文具の世界にもはまってみたいなと思わされました。
最後はぽっぽちゃん自身が大切な人に手紙を書きます。
手紙好きにはたまらない一冊でした。
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